同意がいらない?個人情報保護法改正と「秘密計算」の新しい可能性

同意がいらない?個人情報保護法改正と「秘密計算」の新しい可能性

個人情報保護法が変わろうとしている

2025年7月24日付の日経XTECH記事(出典はこちら)によれば、次期改正で「本人の同意」が不要となるケースが出てくる方向です。

もちろん緩和されるだけではなく、透明性の確保と新しい技術(秘密計算やPETs)を前提とした制度になります。
この記事では、注目される「秘密計算」「PETs」、そして「データ連携コーディネーター」という新しい役割をわかりやすく整理します。


なぜ同意が不要になるの?

これまでの個人情報保護法では、第三者提供には必ず本人同意が必要でした。
しかし次期改正では、以下の条件を満たす場合に限り、同意を不要にする方向が検討されています。

  • 個人を特定できない形にして使うこと
  • 統計や分析など「一般的な結果」を得る目的であること
  • 透明性を担保するために「誰が・何の目的で使うか」を公表すること

つまり「データを安全に扱う仕組みが整っているなら、同意がなくても社会に役立つ活用を認める」という考え方です。

秘密計算とは何か?

「秘密計算」とは、データを暗号化したまま計算できる技術です。
たとえば病院や企業がデータを持ち寄っても、中身を開示せずに統計処理が可能になります。

  • MPC(マルチパーティ計算):複数の機関が暗号化したまま共同で処理
  • 準同型暗号:暗号化状態で計算できる仕組み
  • TEE:安全領域でのみ処理するハードウェア機能

この仕組みによって「プライバシーを守りながら活用できる」世界が広がります。

引用:安全なデータ活用のためのプライバシー強化技術(PETs)の活用 15ページ
https://www.ppc.go.jp/files/pdf//241203-1_hearing_material-4.pdf

技術的担保(PETs)とは?

PETs(Privacy Enhancing Technologies)は、プライバシーを守りながらデータを使う技術の総称です。
秘密計算もPETsの一つですが、他にもいくつかの方法があります。

  • 匿名化・仮名化データ
  • 差分プライバシー(少しノイズを加えて個人を特定できなくする)
  • 合成データ(実データに似たダミーデータを生成)
主なPETsの種類
引用:安全なデータ活用のためのプライバシー強化技術(PETs)の活用 11ページ
https://www.ppc.go.jp/files/pdf//241203-1_hearing_material-4.pdf

参考資料: 個人情報保護委員会 PETs 活用資料 (ppc.go.jp)


データ連携コーディネーターとは?

新しい制度では、複数の事業者が安全にデータをやり取りするための「調整役」も必要になります。
それが データ連携コーディネーター です。

役割の例:

  • 提供契約やルールの策定
  • データ利用の範囲をチェック
  • 技術が適切に使われているかの監視
  • 利用者に対する説明責任の遂行

いわば 「データ利用の交通整理役」 として信頼を支える存在です。


医療・金融・教育でどう使われるの?

政府の重点計画では、医療・金融・教育など公共性が高い分野を中心にデータ連携を推進する方針です。
たとえば:

  • 病院間で診療データを研究利用(本人同意なしでも一部可能に)
  • 金融機関間での不正利用検知
  • 教育データの学習支援分析

社会的に意義の大きい分野から始め、徐々に広げていく想定です。

希少疾患の分析図
引用:安全なデータ活用のためのプライバシー強化技術(PETs)の活用 35ページ
https://www.ppc.go.jp/files/pdf//241203-1_hearing_material-4.pdf

まとめ:これから何が変わるのか?

この記事の要点を整理します。

  • 同意不要の範囲が拡大:秘密計算などを前提に、社会的意義が高い分析に活用できる
  • PETsの必須化:プライバシーを守る技術が前提条件に
  • コーディネーターの重要性:透明性を担保する仕組みづくりが求められる

だからと言って、

  • 同意バナー(Cookieや広告トラッキング)が不要になるわけではなさそうです
    • これは 広告やマーケティング目的 のため、引き続き「本人の同意」が必要
  • 研究や統計、医療・金融のデータ共有
    • 本人同意を省略してもよいケースが拡大する可能性があります

詳しくは 個人情報保護委員会公式サイト をチェックしてみてください。

プライバシーを守ることとデータ活用は、もう二者択一ではありません。両立させる仕組みづくりが、これからの社会を支えていきます。

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